労務管理に必要な書類、きちんと整備できていますか?
〜労基署調査・助成金申請で困らないための基本書類チェック〜
労務管理は、採用から勤怠、給与計算、退職手続きまで範囲が広く、日々の業務の中で後回しになりがちです。
しかし、必要な書類が揃っていない状態のままでは、労働基準監督署の調査や助成金申請のタイミングで思わぬ指摘を受ける可能性があります。
実際の現場では次のような相談が多く寄せられます。
- 就業規則が古いままにしていたら、調査で改定を求められた
- 助成金の申請直前に「必要書類が不足している」と言われて断念した
- 有給休暇管理簿がなく、過去分を遡って作ることになった
いずれも 「書類が揃っていない・更新されていない」ことが原因です。
この記事では、企業が整備しておくべき主要な書類を整理し、現在の状況を確認できるチェックリストをご紹介します。
まずは、「何が揃っていて、どれが不足しているか」を把握するところから始めましょう。
1. 雇用・契約に関する書類
| 書類
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役割
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ポイント
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労働者名簿
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従業員情報の整理 ⇒氏名、生年月日、雇用年月日、契約内容などを記載。 |
退職者も含め 3年間保存※ (※原則は5年ですが、経過措置として現在は3年間となっております。) |
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労働条件通知書 / |
賃金・労働時間・休日などの労働条件の明示。 (絶対的記載事項と相対的記載事項があります。) |
正社員・パート・有期雇用いずれも 交付義務あり 退職者も含め 3年間保存※ (※原則は5年ですが、経過措置として現在は3年間となっております。) |
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| 就業規則・賃金規程 |
賃金、労働時間、休憩、懲戒などの規定を明文化。 使用者・労働者が共に働きやすい職場環境を作りあげる為の会社のルールブックです。
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従業員10名以上で 届出義務 /改定は随時必要 |
とくに 就業規則 は、法改正があるたびに内容の見直しが必要です。
「数年前に作ったまま」の状態は、調査の際に指摘対象になりやすいため注意が必要です。
2. 勤怠・賃金に関する書類
| 書類
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役割
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|---|---|---|---|---|
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出勤簿(タイムカード・勤怠記録) |
実労働時間の把握 ⇒始業・終業時刻、休憩時間を明確に記録。 |
打刻の一貫性が重要 | ||
| 賃金台帳 |
賃金支払の根拠 ⇒賃金、残業代、控除額、支給日などを記録。 |
3年間保存※ (※原則は5年ですが、経過措置として現在は3年間となっております。) |
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給与明細書 |
賃金項目ごとの内訳明示 |
交付義務あり
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| 年次有給休暇管理簿 |
有給休暇の付与・取得管理 ⇒付与日数・取得日数・残日数を記録。 |
全企業で作成義務 3年間保存※ (※原則は5年ですが、経過措置として現在は3年間となっております。) |
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| 36協定届(時間外・休日労働協定) | 残業・休日労働を可能にする前提書類 |
労働基準監督署への提出が必要 |
労基署調査で最も指摘されやすいのが 36協定届の未提出 です。
提出がなければ、残業させること自体が法令違反となります。
残業が発生する可能性がある場合は、必ず提出しておきましょう。※
※「自社では残業が発生しないからいらない」とお考えの事業所でも、不意な対応依頼などで勤務時間を超過してしまうことはよくあるお話です。有事の際に対応が出来るように提出されることを推奨いたします。
3. 安全衛生に関する書類
| 書類
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役割
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保存
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健康診断結果
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従業員の健康状態の把握 | 5年間保存 | ||
| 有所見者管理記録 | 健診で所見があった従業員への 受診勧奨・勤務配慮・フォロー内容を記録 | 記録がないケースが多いので要注意 |
4. 社会保険・労働保険に関する書類
社会保険(健康保険・厚生年金)と労働保険(雇用保険・労災保険)は、従業員を雇った時点で加入が必要な制度です。
加入可否は「雇用形態」ではなく、週の所定労働時間・労働日数で判断されます。
| 書類・手続き
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役割
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|---|---|---|---|---|
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資格取得届(社保・雇用保険)
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入社時の加入手続き | 提出遅れは 遡り保険料 の可能性 | ||
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労災保険
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業務災害・通勤災害の補償 | パート・短期も 必ず対象 | ||
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賃金台帳・出勤簿との整合性 |
手続き内容の根拠 | 実態と申請内容がズレると調査で指摘 |
✅ 書類整備チェックリスト

まとめ
労務書類は、法令遵守・助成金の活用・従業員との信頼関係構築の土台です。
書類は「揃っているかどうか」だけでなく、実態に合い、説明できる状態かどうかが重要です。
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